発達障害(自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害など)は、日常生活や社会生活でさまざまな困難を感じることがあります。そのような当事者の生活をサポートするために、「障害者手帳」を取得することで、さまざまな支援を受けることができます。この制度を活用するための方法やメリット、更新時のポイントを発達障害当事者向けにわかりやすく説明します。
発達障害当事者が取得できる障害者手帳とは?
発達障害がある方は、主に精神障害者保健福祉手帳を取得することができます。この手帳を持つことで、日常生活の負担を軽減したり、仕事や社会参加の機会を広げたりするための支援を受けられます。
精神障害者保健福祉手帳の特徴
- 対象となる障害:自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの発達障害、またはこれらに伴う二次障害(うつ病、不安障害など)。
- 等級:1級~3級までの等級があり、障害の重さに応じて支援内容が異なります。
手帳を取得する方法
(1) 医療機関で診断を受ける
発達障害の診断を受けたことがない場合、まずは精神科や心療内科、発達障害を専門とするクリニックを受診しましょう。手帳申請には医師による診断書が必要です。
診断書には料金がかかります。クリニックによって金額が異なるので確認してください。
- どこに相談する?
- 地域の保健所や発達障害者支援センターに問い合わせると、適切な医療機関を教えてもらえます。
- 子どもの場合は、児童相談所や小児科でも相談可能です。
もし内科などかかりつけの病院があれば、主治医に適切なクリニックを紹介してもらうのもいいですよ。
(2) 必要書類を準備する
診断書を受け取った後、市区町村の役所で申請手続きを行うために、以下の書類を準備します。
- 診断書:医師が作成したもの(申請用のフォーマットがあります)。
- 顔写真:証明写真サイズ(縦4cm×横3cm)。
- 申請書:市区町村役所で配布されるもの。
- 身分証明書:運転免許証、マイナンバーカード、保険証など。
(3) 役所で申請をする
市区町村の障害福祉課または福祉関連窓口に書類を提出します。申請は無料で行えます。審査には数週間から数カ月かかることがあります。
(4) 手帳の交付を受ける
審査が通ると、通知が届き、障害者手帳が交付されます。手帳を受け取ったら、有効期限を確認しておきましょう。
発達障害当事者が受けられる支援
障害者手帳を持つことで、発達障害の当事者が利用できる支援は多岐にわたります。
(1) 日常生活を支える支援
- 交通費の割引:
- 電車やバスが半額になることが多いです。
- 一部の自治体では、タクシー料金の助成が受けられる場合もあります。
JRも割引が適用されることもあるので、最寄りのJRの駅や自治体に確認してみてください。
- 公共施設の割引や無料利用:
- 博物館、美術館、動物園などの施設が割引や無料になることがあります。
(2) 医療費の助成
- 発達障害に伴う診療や薬の費用が軽減される場合があります(自治体による)。
- 精神科の診察やカウンセリングの自己負担額が減ることもあります。
(3) 就労に関する支援
- 障害者雇用枠での就職: 障害者手帳を持っていることで、障害者雇用枠での応募が可能になり、サポートを受けながら働けます。
- 合理的配慮の依頼: 職場で自分に合った働き方(休憩時間の調整や環境の整備など)をお願いしやすくなります。
- 就労移行支援サービス: 仕事に必要なスキルを学ぶ支援事業所を利用できます。
(4) 税金や生活費の負担軽減
- 税金の優遇: 所得税や住民税が控除されるため、経済的負担が軽減されます。
- 車の税金の減免: 自家用車の自動車税や軽自動車税が減額されます。
手帳の更新方法
障害者手帳には有効期限があります(通常は1~2年)。期限が切れると支援が受けられなくなるため、更新手続きを行う必要があります。
(1) 更新時期を確認する
手帳の有効期限は、手帳に記載されています。有効期限の1~2カ月前を目安に更新の準備を始めましょう。
管理人の住む地域では3か月前から更新手続きが可能ですが、自治体によって異なるので確認してみてください。
(2) 必要書類を準備する
更新には、以下の書類が必要です:
- 新しい診断書:医師に依頼して作成してもらいます。
- 顔写真:最新のものを用意します。
- 更新申請書:市区町村役所で配布されるもの。
(3) 役所で更新手続き
申請時と同じように、市区町村の障害福祉課で手続きを行います。更新手続きも無料です。
(4) 新しい手帳の受け取り
審査が完了すると、新しい手帳が交付されます。交付まで1~2カ月かかる場合がありますので、期限が切れる前に余裕をもって手続きを行いましょう。
更新時に注意すべきポイント
診断書の取得には時間がかかる:診断書作成には医師の診察が必要で、予約が取れない場合もあります。早めに医療機関を受診しましょう。
期限切れに注意:期限が切れると、割引や支援が一時的に利用できなくなります。期限を必ず確認してください。
自治体ごとの違い:更新手続きや必要書類は地域によって異なります。お住まいの役所に確認することが重要です。
手帳を取得するメリット
発達障害当事者にとって障害者手帳は、生活をスムーズにするための心強いツールです。以下のようなメリットがあります。
経済的な負担軽減:交通費や医療費、税金の優遇。
就労支援の拡充:障害者雇用枠や合理的配慮の活用。
社会的な理解の向上:手帳があることで、障害への理解が得やすくなる。
まとめ
発達障害当事者が障害者手帳を取得することは、生活の負担を軽減し、社会での自立や安心した生活を実現するための大きな一歩です。手帳を取得し、適切に利用することで、自分に合った支援を受けることができます。
更新時には診断書の準備などが必要ですが、期限を確認し早めに行動すればスムーズに手続きできます。障害者手帳を活用し、生活をより快適に、安心できるものにしていきましょう。