はじめに:私が経験した「職場での人間関係」に対するモヤモヤ
私は今までに数か所の就労継続支援A型事業所に通所した経験がありますが、どの事業所でも「友達を作るのはNG」と言われてきました。事業所の支援員さんからは「規則だから」とだけ説明され、詳しい理由は教えてもらえませんでした。私も深くは聞かず、「そういうものなのかな」と思い、受け入れていました。
しかし、通所している仲間の中には、こんな声を漏らす人もいました。
「友達が作れないのでは、通所している意味がないんじゃないか?」
「人とコミュニケーションを取れなければ、仕事なんてできないよね」
このような不満の声を聞くたびに、私の中でも「本当に友達を作るのはダメなの?」という疑問が大きくなっていきました。今回は、就労継続支援A型事業所における「友達NG」の背景について、私の経験を交えながら詳しく考えてみます。
就労継続支援A型事業所とは?
まず簡単に、就労継続支援A型事業所について説明します。
就労継続支援A型事業所とは、障がいのある人が「雇用契約」を結びながら働く場所です。一般企業への就職が難しい方でも、事業所のサポートを受けながら、給料をもらい、働く経験を積むことができます。
しかし、A型事業所は「働く場」であるため、一般の職場と同じように規律を重んじるところがあります。その一環として、人間関係のルールに厳しい方針を取る事業所も多いようです。
「友達NG」の理由とは?
では、なぜ多くの就労継続支援A型事業所で「友達NG」と言われるのでしょうか?その背景には、いくつかの理由が考えられます。
仕事とプライベートを分けるため
就労支援A型事業所は、「職場である」という意識を持たせるために、友達作りを禁止することがあります。
職場で友達同士の関係が深くなると、どうしても仕事中のおしゃべりや、私的な感情のトラブルが増えるリスクがあります。その結果、仕事の効率が下がってしまうことを避けるために、「職場では友達を作らないように」としているのです。
トラブル防止のため
「友達禁止」の方針の背景には、利用者同士のトラブルを未然に防ぐという意図もあります。
- お金の貸し借り
- 個人的な相談の行き過ぎ
- 噂話や派閥争い
- 恋愛トラブル
これらの人間関係トラブルが起こると、事業所の支援員さんたちも対処に時間を取られてしまいます。そのため、事前に「友達作りは禁止」というルールを設けている事業所が多いのです。
公私混同を避けるため
就労支援事業所は、あくまでも「仕事をする場」であり、「プライベートの交流をする場ではない」という考え方を持つところもあります。
利用者の中には、生活に不安を抱えている人や、人間関係に課題がある人も多くいます。そのため、仕事仲間と友達を混同してしまうと、余計なトラブルを引き起こす可能性が高くなります。事業所はそうしたリスクを避けるために、「友達禁止」というルールを設けているのです。
本当に友達を作ってはいけないのか?
しかし、「友達NG」という方針に対して、疑問を感じる人がいるのも事実です。
例えば、次のような意見があります。
「友達ができないと、仕事が楽しくない」
「仲間と一緒に頑張るからこそ、仕事が続けられるんじゃないの?」
実際に、職場での人間関係は仕事のモチベーションに大きな影響を与えます。信頼できる仲間がいることで、仕事への責任感が高まることもあるのです。
事業所ごとに方針は違う
重要なのは、すべての事業所が「友達NG」というわけではないことです。
中には、利用者同士のコミュニケーションを積極的に推奨する事業所もあります。
例えば、
- レクリエーションやイベントを企画している事業所
- コミュニケーションスキルの向上をサポートする事業所
このような事業所では、職場の仲間同士で信頼関係を築くことが、仕事をするうえでの重要な要素と考えられています。
私たちができることは?
あなたが「友達NG」に対して疑問を持つのは、自然なことです。では、これからどのように対処していけば良いのでしょうか?
事業所の支援員に理由を聞いてみる
次に通う事業所で「友達NG」と言われたときは、支援員さんに理由を聞いてみるのも一つの手です。「なぜそのルールがあるのか?」を知ることで、モヤモヤが解消されるかもしれません。
仲間意識を大切にする
たとえ「友達禁止」の方針があっても、仕事上の良い関係を築くことは可能です。挨拶や報連相(報告・連絡・相談)をしっかり行い、職場の仲間としての信頼関係を大切にしていきましょう。
他の事業所を探してみる
もし「コミュニケーションが大切」と感じるのであれば、あなたに合った事業所を探すのも一つの方法です。事業所ごとに方針は異なるので、コミュニケーションを重視する事業所を見つけることで、より働きやすい環境になるでしょう。
まとめ
就労継続支援A型事業所の「友達NG」というルールには、仕事とプライベートを分けることや、トラブルを未然に防ぐという意図があると考えられます。
しかし、働く上での良好な人間関係は、仕事のモチベーション向上や職場環境の改善に重要です。
自分に合った事業所を見つけて、無理なく働ける環境を探していきましょう。