発達障害当事者として結婚を考えるとき、「自分は結婚生活を送れるのだろうか」「発達障害である自分に結婚は可能なのか」と不安になる方が少なくありません。また、恋人がいる方もいない方も、それぞれに将来への期待と不安を抱えていることと思います。今回は、私自身の経験をもとに、発達障害当事者が結婚する前に準備すべきことや考えるべきことをお話しします。一つの例として参考になれば幸いです。
最初の結婚:経験不足と自己理解の欠如
私が最初に結婚したのは、まだ自分が発達障害であることを知らない頃でした。お見合い結婚で、相手の家族の意向に従い早々に嫁ぐことになりました。しかし、私と元夫の間で結婚生活について十分な話し合いをすることはなく、さらに私自身が社会経験に乏しく、生活に必要な常識やスキルが欠けていました。その結果、結婚生活においては戸惑いや不安が絶えませんでした。
例えば、家事やコミュニケーションのズレが原因で夫婦間に亀裂が生じ、結婚生活はすぐに破綻しました。当時の私には、そもそも「夫婦としてどう生活を築くか」について考える余裕も知識もありませんでした。愛情があったかどうかですら、振り返ると曖昧なものだったと思います。
二度目の結婚:話し合いと予測不能な出来事
社会経験を積んだ後、私は二度目の結婚をしました。このときは、相手と結婚生活について話し合い、双方が納得したうえでの結婚でした。これにより、最初の結婚とは違い、スタートは比較的スムーズでした。
しかし、結婚後に予測できなかった出来事が次々に起こりました。例えば、同居していた姑が私を「世間知らず」と嫌うようになり、さらに認知症の前段階と診断されました。介護が必要な状態となり、私自身も精神的に追い詰められ、医師の診断を受けることになりました。結果として、発達障害の診断が出るまでに1年を要しました。 元夫は私の特性に無関心で、「とにかく働かないでほしい」と言うだけでした。この状況では夫婦の絆を深めることはできず、関係は冷え切ってしまいました。結局、結婚生活はうまくいかず終わりを迎えました。
三度目の結婚:計画性の欠如と不安
三度目の結婚では、相手も精神障害の当事者でしたが、将来の生活について具体的な話し合いをすることはありませんでした。同棲期間を含め数年間一緒に暮らしましたが、計画性のない生活が続き、不安を感じる日々でした。
お互いに自分の課題を抱えていたこともあり、夫婦生活とは言い難いものでした。日常生活のルールや役割分担、将来の目標について話し合うことなく、ただ時間が過ぎていきました。その結果、結婚生活を維持することは難しくなりました。
結婚前に準備すべきこと
1. 自己理解と特性の把握
- 自分の発達障害の特性(得意なこと・苦手なこと、ストレス要因など)を理解し、相手に適切に伝えられるようにしておく。
- 相手の特性や価値観を尊重し、お互いの違いを受け入れる姿勢を持つ。
2. 十分な話し合い
- 結婚生活の具体的なイメージを共有する(家事分担、生活費、子どもについてなど)。
- 突発的なトラブルが起きたときの対応策を話し合っておく。
3. 社会経験の蓄積
- 働くことで生活力を身につけ、他者と関わる中でコミュニケーションスキルを磨く。
- 生活の基礎力をつけることで、自信を持って結婚生活に臨む。
4. サポート体制の確認
- 家族や支援機関、友人など、困ったときに頼れるネットワークを構築しておく。
- 必要に応じて専門家の支援を受けられる環境を整える。
5. 将来の計画を立てる
- 生活の目標や希望を明確にし、相手と共有する。
- 計画は柔軟性を持たせ、変化に対応できるようにする。
結婚生活を成功させるための心構え
1. 完璧を目指さない
結婚生活は日々の積み重ねです。全てを完璧にしようとせず、お互いに補い合う姿勢が大切です。
2. コミュニケーションを重視する
日常の些細なことでも共有し、困難が生じた際は素直に助けを求める習慣をつける。
3. 柔軟性を持つ
計画通りにいかないこともありますが、その都度柔軟に対応することが重要です。
まとめ
発達障害当事者にとって結婚は決して簡単なものではありません。しかし、事前に十分な準備と話し合いを重ねることで、より充実した結婚生活を送ることができるでしょう。お互いの特性を理解し、助け合いながら歩む結婚生活が、幸せなものとなるよう心から願っています。
ご拝読頂きありがとうございました。これから結婚を考えるすべての方に幸せが訪れることを祈っています。