「僕の妻は発達障害」は、発達障害をテーマにしたエッセイ漫画で、原作者のナナトエリさんと亀山聡さんご夫婦が実体験をもとに描かれた感動的な作品です。エリさんが発達障害と診断されたことをきっかけに、夫婦で障害と向き合いながらも、すれ違いや葛藤を抱える日々を丁寧に描写しています。漫画では、エリさんを「知花」、聡さんを「悟」として描き、読者に寄り添う優しい視点が魅力です。2020年2月号から2024年5月号まで「月刊コミックパンチ」で連載され、テレビ化もされたこの作品は、発達障害への理解を深める貴重な一冊です。初めて知った方にもぜひ手に取っていただきたい作品です。
あらすじ
妻・知花(ちか)は日常生活の中でさまざまな困難を抱えています。音や光に敏感だったり、予定の変更に戸惑ったりする彼女の姿に、夫の悟(さとる)は戸惑いながらも寄り添おうと努力します。しかし、理解しようとする中で起こるすれ違いや衝突も少なくありません。
それでも二人は対話を重ね、支え合いながら夫婦としての形を模索していきます。この物語は、困難を抱えながらも懸命に日々を生きる二人の姿を通じて、相手を理解することや思いやりの大切さを教えてくれる感動的な作品です。笑いあり、涙ありのエピソードが詰まった、温かい夫婦の物語です。
読んだ感想
この感想は私見に基づくものであり、すべての発達障害当事者が一緒ではありませんのでご了承願います。
「僕の妻は発達障害」を読み終えた瞬間、「発達障害と言っても人それぞれ、特性には多様性があるのだ」と強く感じました。私自身も発達障害を抱えていますが、その特性は人それぞれ異なります。例えば私の場合、「衝動性」が強いことが挙げられます。思ったら最後、深く考えずに行動してしまい、よく失敗をしてしまいます。また、覚えていなければならないことをすぐに忘れてしまうこともあります。こうした特性が私にはあっても、ナナトエリさんや他の発達障害当事者には必ずしも同じ特性があるわけではありません。その逆も然りです。
この漫画では、あえて病名を明記していません。それは、「夫婦のその時々の思いを考えながら読んでほしい」という作者の意図からだと思います。また、作中でも「ナナトエリさんがすべてではない」と書かれており、特性の多様性を尊重する姿勢が伺えます。私も発達障害を持つ一人として、「特性を持つ人すべてが同じ」という固定観念を持たず、個人の違いを理解していただきたいと強く思います。
漫画の内容は、医学博士が監修していることもあり、とても簡潔で読みやすく、専門用語もほとんど出てこないため、親しみやすい作品です。ナナトエリさんが発達障害の診断を受けたのは結婚後のことでした。そのため、亀山聡さんは妻を理解しようと、書籍を購入して勉強したり、それをもとに接し方を工夫しました。しかし、最初は上手くいかず、疲れてしまうこともあったそうです。それでも「上手くいかなくても一緒にいたい」という夫婦の強い絆により、現在では喧嘩もたまにしかなく、穏やかな日々を過ごしているそうです。また、困ったことがあれば、二人で主治医に相談し、適切なアドバイスを受けながら解決しているとのことです。ここから、「相談相手を持つことの大切さ」も伝わってきます。
この漫画は全8巻です。発達障害の特性に悩んでいる方、またはパートナーが発達障害当事者で、どう向き合えばよいかわからない方にとって、ぜひ手に取ってほしい一冊です。それぞれの違いや特性を理解し、支え合うヒントが得られるでしょう。
本の情報
著作名・・・僕の妻は発達障害(コミック・全8巻セット)
著作者・・・ナナトエリ、亀山聡
出版会社・・・新潮社(2024/6/6)
値段・・・5,720円
大きさ・・・横(13.5cm)×縦(18.5cm)×厚み(1.0cm)
まとめ
僕の妻は発達障害」は、発達障害を抱える妻とその夫が日々の困難やすれ違いを乗り越え、支え合いながら歩む姿を描いた感動的なエッセイ漫画です。特性の多様性や夫婦の絆、相談する大切さを教えてくれるこの作品は、発達障害への理解を深めたいすべての人におすすめです。